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眠れない原因は心の病気かも?うつ病・双極性障害・不安症のサイン【中編】|新宿 心療内科 シティライトメンタルクリニック
【心療内科・メンタルクリニック】
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前編では、睡眠時無呼吸症候群やむずむず脚症候群、甲状腺の病気など、「体」から眠りが乱れるケースを見てきました。全3回シリーズの中編となる今回は、「心」から眠りが乱れるケースを見ていきます。
外来でお会いしていると、「気分が落ち込む」より先に「眠れない」が始まっていた、という経過をたどる方に少なからず出会います。眠りの変化は、心の不調に早めに気づくための大事な手がかりにもなります。前編と同じく、この記事も自分で診断をつけるためのものではありません。当てはまる項目があっても、それだけで病気だと決まるわけではない、という前提で読んでいただけたらと思います。
「こんな状況だったら、これかも」――心のサインを見分ける
眠れない、そして何をしても楽しくない――うつ病かも
こんな状況ありませんか? 寝つけない、夜中に目が覚める、あるいは明け方の4時、5時に目が覚めて、そのまま眠れない。それに加えて、気分が沈む、好きだったことが楽しめない、食欲が落ちた(または逆に増えた)、自分を責めてしまう。
考えられること: うつ病の可能性があります。睡眠の乱れはうつ病のとても代表的な症状のひとつです。
見分けるヒント: 研究でも、不眠がある人は、ない人に比べて、その後うつ病を発症するリスクがおよそ2倍以上になることが、複数の長期追跡研究をまとめた解析で示されています[1]。また、うつ病というと眠れなくなるイメージがありますが、反対に「いくら寝ても眠い」「一日中寝てしまう」という形で現れることもあります。
いくつかの経験を組み合わせた架空症例ですが、こんな経過を想像してみてください。新しい職場に移ってしばらくしてから、夜中に目が覚めるようになった方がいました。最初は「環境が変わったせいだろう」と思い、市販の睡眠改善薬でしのいでいたそうです。けれど数か月たつうちに、休日に何もする気が起きない、好きだった音楽も聴かなくなった……と、少しずつ生活の色が抜けていきました。診察の場で睡眠のことを順番にうかがっていくと、ご本人がぽつりと言います。
「眠れないのが一番つらいと思ってたんですけど……そういえば、最近ずっと楽しいことがないです」
眠れないことだけに目を向けていると、こうした変化は見落とされがちです。
ほとんど寝ていないのに元気な時期があった――双極性障害かも
こんな状況ありませんか? 2〜3時間しか寝ていないのに、まったく眠くならず、むしろ元気だった時期がある。その時期は、話が止まらない、アイデアが次々浮かぶ、いつもより大きな買い物をした。そして今は、逆に気分が落ち込んで眠れない、または寝すぎてしまう。
考えられること: 双極性障害(躁うつ病)の可能性があります。気分が高まる「躁」や、それより軽い「軽躁」の時期には、「眠らなくても平気」になることが特徴のひとつとされています。
見分けるヒント: 気分が高まっている時期は、本人にとっては「調子がいい」と感じられるため、困りごととして自覚されにくいのです。落ち込んでいる時期だけを相談すると、うつ病として扱われ、見逃されてしまうことがあります。「眠らなくても平気だった時期があったかどうか」は、お薬の選び方にも関わる、とても大事な情報です。思い当たる場合は、相談のときにぜひ伝えてください。
布団に入ると考えごとが止まらない、怖い夢で目が覚める――不安症やPTSDかも
こんな状況ありませんか? 布団に入ったとたん、明日のこと、過去の失敗、いろいろな不安が頭をぐるぐる回って眠れない。夜中に急に動悸がして目が覚める。つらい出来事があってから、怖い夢で何度も目が覚めるようになった。
考えられること: 不安症(不安障害)、パニック症、PTSD(心的外傷後ストレス障害)などの可能性があります。つらい体験のあとから悪夢が続いている場合は、PTSDの症状のひとつであることがあります。
見分けるヒント: 夜中に突然の動悸や息苦しさで目が覚める場合、パニック発作のこともありますが、睡眠時無呼吸や不整脈、甲状腺の病気など体の病気が隠れていることもあります。「不安のせい」と決めつける前に、体の面からも確認しておきたいところです(前編でお伝えした体の病気も、あわせて思い出してみてください)。
中編のまとめ――「心のサイン」は見逃されやすい
うつ病、双極性障害、不安症やPTSD。いずれも、本人にとっては「眠れないこと」が一番の訴えになりやすく、その奥にある気分や感情の変化が後回しにされがちです。特に双極性障害は、調子のいい時期ほど相談の対象になりにくい、というやっかいな特徴を持っています。
次回の後編では、体内時計のずれや生活習慣が原因になるケース、そして「ここまでのどれにも当てはまらない不眠症」について見ていきます。あわせて、前編・中編で見てきた原因がどのように重なり合うのか、「悪循環」の仕組みと、相談するときに役立つ準備についてもお伝えします。
参考文献
- Baglioni C, Battagliese G, Feige B, et al. Insomnia as a predictor of depression: a meta-analytic evaluation of longitudinal epidemiological studies. J Affect Disord. 2011;135(1-3):10-19.