クリニックからのお知らせ
新宿歌舞伎町の精神科|アルコール依存症の心理社会的治療
新宿歌舞伎町の精神科が解説|アルコール依存症と心理社会的治療
「毎日お酒を飲まないと落ち着かない」「やめたい気持ちはあるのに、つい飲んでしまう」
そんなお悩みを抱えている方は少なくありません。お酒はリラックスのための身近な存在である一方で、飲み方によってはアルコール依存症やアルコール健康障害と呼ばれる状態につながります。
シティライトクリニック歌舞伎町は、新宿・歌舞伎町エリアで夜22時まで診療している精神科クリニックです。
当院では、アルコール依存症や「飲み過ぎ」にまつわるさまざまな問題に対して、薬だけに頼らない心理社会的治療を重視した外来診療を行っています。
アルコール依存症・アルコール健康障害とは?
日本には「アルコール健康障害対策基本法」という法律があり、アルコール健康障害を
- アルコール依存症
- 多量飲酒による健康障害
- 未成年飲酒・妊娠中の飲酒など不適切な飲酒による心身の障害
といった広い概念としてとらえています。
つまり、「完全な依存症」と診断されていなくても、「飲み過ぎ」で健康や生活に問題が出ている状態も立派な治療対象です。
例として、次のような症状やトラブルは、アルコールに関連する疾患群のサインかもしれません。
- 休みの日は朝から飲んでしまう、量をコントロールできない
- 肝機能異常、胃炎、睡眠障害、うつ状態などを指摘されている
- 「もうやめよう」と思っても何度も失敗してしまう
- お酒が原因で仕事・家庭・人間関係のトラブルが増えている
アルコール依存症は「意志が弱いからなる病気」ではなく、脳や心、生活環境がからみ合って起こる“病気”です。医学的な支援を受けることは、決して恥ずかしいことではありません。
なぜ「心理社会的治療」が重要なのか
アルコール依存症やアルコール健康障害の治療では、解毒や離脱症状に対する薬物治療が必要な場面もありますが、長期的な回復の中心となるのは心理社会的治療だとされています。
心理社会的治療とは、
- 考え方や行動のパターンを見直す
- ストレスや飲酒欲求への対処スキルを身につける
- 家族や職場、地域資源とのつながりを調整する
といった「心」と「生活」の両面を整えていくアプローチの総称です。
国内外のガイドラインでも、アルコール依存症を含む物質使用障害の治療において、認知行動療法(CBT)や動機づけ面接(MI)、自助グループ参加などの心理社会的治療が重要な役割を果たすことが示されています。
代表的な心理社会的治療の種類
1. 心理教育:病気を「正しく知る」ことから始める
アルコール依存症やアルコール健康障害は、「病気の理解」が治療の第一歩です。
- なぜ「一杯だけ」のつもりが止まらなくなるのか
- 脳や肝臓・心臓・睡眠にどんな影響があるのか
- どのくらいの飲酒量が「危険ライン」なのか
こうした情報を医師やスタッフからわかりやすく学ぶことで、「根性論」ではなく、科学的に自分の状態を理解できるようになります。自分や家族が病気を理解することで、「責め合う関係」から「協力し合う関係」に変わっていきます。
2. 動機づけ面接(MI):やめたい気持ちと飲みたい気持ちの両方に向き合う
動機づけ面接(Motivational Interviewing:MI)は、アルコール依存症の治療から生まれたカウンセリング技法で、
- 「やめたいと思っている自分」
- 「でも飲んでしまう自分」
という揺れ動く気持ち(両価性)に寄り添いながら、「自分で変わろうと決める力」を引き出していく面接方法です。
MIでは、医師やカウンセラーが説教したり、正しさを押しつけたりするのではなく、
- 今の飲み方で困っていること
- 変わることのメリット・デメリット
- 現実的にできそうな小さな一歩
などを一緒に整理していきます。
「変われと言われたから変わる」のではなく、「自分で変わりたいと決める」プロセスを大切にする治療です。
3. 認知行動療法(CBT):飲酒につながる「考え方」と「行動パターン」を整える
認知行動療法(Cognitive Behavioral Therapy:CBT)は、
- 飲みたくなるきっかけ(トリガー)
- そのときの考え方(「一杯だけなら大丈夫」など)
- その後の行動パターン
を一緒に振り返り、現実的でバランスのよい考え方や行動に置き換えていく方法です。
具体的には、
- 飲酒に誘われたときの断り方を一緒に練習する
- ストレスが溜まったときの別の対処方法(運動・休息・誰かに話す など)を増やす
- アルコールに依存しないリラックス方法を見つける
といった「コーピングスキル(対処スキル)」を身につけていきます。
4. 再発予防プランニング:失敗を「やり直しのきっかけ」に変える
アルコール依存症の回復では、一度も失敗せずに禁酒・減酒が続くケースの方が少ないかもしれません。大切なのは、「ゼロか100か」で考えないことです。
再発予防の面談では、
- 「飲んでしまった日」の前後に何があったのか
- どんなきっかけ・感情・人間関係が影響したのか
- 次に同じ状況になったとき、どう対処するか
などを一緒に振り返りながら、「次の一歩」を具体的に準備することを目指します。
失敗を「自己嫌悪の材料」にするのではなく、「学びの材料」に変えていくイメージです。
5. グループプログラム・自助グループ
同じような悩みを持つ人たちと、体験や工夫を共有するグループプログラムや、AA(アルコホーリクス・アノニマス)などの自助グループは、アルコール依存症治療の中でも重要な位置づけにあります。
お互いの失敗や成功を語り合うことで、
- 「自分だけじゃない」という安心感
- 長く回復を続けている人からの具体的なヒント
- 家族や職場では話しにくい本音を話せる場
が得られます。
当院では、必要に応じて地域の専門機関や自助グループへの紹介・情報提供も行っています。
6. 家族支援・家族面接
アルコール問題は、本人だけではなく家族全体の問題として現れる病気でもあります。
家族が
- 「どう対応すればいいのか分からない」
- 「責めてしまって後悔する」
- 「生活がめちゃくちゃになって疲れ切っている」
といった状態に陥ることも少なくありません。
家族面接では、
- アルコール依存症という病気の特徴を一緒に理解する
- 家族が抱えている怒り・不安・罪悪感を言葉にする
- 家族自身の生活と健康を守るための方法を考える
ことを大切にしています。
当院(シティライトクリニック歌舞伎町)で行っていること
当院では、アルコール依存症やアルコール健康障害が疑われる方に対して、外来で次のようなサポートを行っています。
- 現在の飲酒量・健康状態・生活状況の評価
- アルコールに関する心理教育(病気の理解・危険な飲み方のラインなど)
- 動機づけ面接的な面談による「やめたい/やめたくない」の気持ちの整理
- 認知行動療法の考え方を取り入れた、飲酒につながりやすい場面・考え方の整理
- 必要に応じた薬物療法(睡眠・不安の調整、再発予防薬の検討など)
- 重症例や入院治療が必要な場合の、専門医療機関との連携
- 地域の自助グループ・相談窓口などの情報提供
夜遅い時間まで働いている方や、不規則な勤務の方でも受診しやすいよう、夜22時まで診療しています。
「いきなり禁酒と言われたら続く自信がない」「まずは話だけ聞いてみたい」という段階でも構いません。
こんな方は一度ご相談ください
- 最近、お酒の量や頻度が確実に増えてきている
- 休肝日を作れず、毎日飲むのが当たり前になっている
- 飲み過ぎて仕事や人間関係に支障が出始めている
- 健康診断で肝機能異常を指摘されたが、飲酒はやめられていない
- 家族や周囲から「飲み方がおかしい」と指摘されている
- 他院でアルコール依存症と言われたが、どう向き合えばよいか分からない
一人で抱え込まず、まずは一度外来でご相談ください。
あなたのペースや生活スタイルを尊重しながら、現実的な目標(減酒・禁酒・健康管理など)を一緒に考えていきます。
受診方法・アクセス
当院の診療時間・アクセス・予約方法は、公式サイトに掲載しています。
スマートフォンからも見やすいページ構成となっていますので、通院しやすい曜日・時間帯を確認のうえご来院ください。
参考リンク(外部サイト)
- 厚生労働省「アルコール健康障害対策」
- e-Gov法令検索「アルコール健康障害対策基本法」
- アルコール依存症の心理・社会的治療(厚生労働省 こころの耳ほか関連サイト)
- WHO「Psychosocial interventions for the management of alcohol use disorders」
- 「アルコール・薬物使用障害の診断治療ガイドライン」(厚生労働科学研究)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個別の診断や治療方針を決めるものではありません。実際の治療については、必ず受診のうえ担当医とご相談ください。

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