クリニックからのお知らせ
新宿歌舞伎町の精神科|HSP(繊細さん)の医学的理解と相談先
新宿歌舞伎町の精神科が解説|HSP(繊細さん)の医学的な理解と向き合い方
「人一倍音や光が気になる」「人の機嫌にすぐ気づいて疲れてしまう」「みんなが平気そうな環境でも、自分だけぐったりしてしまう」――こうしたお悩みから、最近よく耳にするHSP(Highly Sensitive Person/繊細さん)という言葉にたどり着く方が増えています。
一方で、インターネットやSNSには、HSPをめぐる情報が玉石混交であふれており、
- 「HSPは病気なの? 発達障害なの?」
- 「自分はHSPだから、普通の仕事は無理なんだろうか」
といった不安をかえって強めてしまうことも少なくありません。
シティライトクリニック歌舞伎町は、新宿・歌舞伎町エリアで夜22時まで診療している精神科クリニックです。
当院では、HSPの情報にふれて「自分もそうかもしれない」と感じている方や、日常生活のしんどさが強い方のご相談もお受けしています。
医学・心理学の世界でのHSPの位置づけ
学術的には、HSPは「感覚処理感受性(Sensory Processing Sensitivity:SPS)」という気質に対応する概念として研究されています。:contentReference[oaicite:0]{index=0}
- 外からの刺激(音・光・匂い・人の表情・場の雰囲気など)を細かく・強くキャッチしやすい
- 一度キャッチした情報を、頭の中でじっくり深く処理する傾向がある
- その結果として感情も動きやすく、疲れやすい一面がある
といった特徴が報告されています。人口のだいたい15〜30%がこの「感覚処理感受性が高いタイプ」に当てはまるとされ、決して珍しい存在ではありません。:contentReference[oaicite:1]{index=1}
重要なポイントは、
- HSPはうつ病や不安障害のような「病名」ではない
- 生まれ持った気質・個人差の一つとして扱われている
- ただし、強いストレス環境ではうつ・不安・適応障害などのリスクが高まりうる
という点です。実際の研究でも、感覚処理感受性が高い人ほど、ストレスの強い状況では落ち込みや不安が強く出やすい一方、支えが得られている環境ではポジティブな影響を受けやすい「環境感受性が高いタイプ」であることが示されています。:contentReference[oaicite:2]{index=2}
HSPと精神疾患の違い
インターネット上では「HSP=何らかの病気」のように扱われることもありますが、医学の標準的な診断体系であるDSM-5(精神疾患の診断・統計マニュアル)には、HSPという診断名は載っていません。:contentReference[oaicite:3]{index=3}
一方で、HSP的な特徴をもつ人の中には、
- 不安障害
- うつ病
- 社交不安症
- 発達特性(ASD・ADHDなど)
が併存している方も一定数おり、研究でも抑うつ・不安・ストレスの高さとの関連が報告されています。:contentReference[oaicite:4]{index=4}
まとめると、
- HSP=診断名ではなく気質のラベル
- ただし、その気質ゆえにストレスやメンタルの問題が出やすい人もいる
- 困りごとが強いときは、病気としての診断・治療が必要な場合もある
という整理になります。
HSPの人によく見られる特徴(例)
研究で使われる「HSP診断テスト」として有名なのがHighly Sensitive Person Scale(HSPS)です。:contentReference[oaicite:5]{index=5} そこから示される特徴を、一般向けにかみ砕くと次のようになります。
- 些細な物音・光・匂いが気になりやすい
- 人混みやにぎやかな場所に長時間いると、とても疲れてしまう
- 人の表情や声のトーンの変化にすぐ気づき、空気を読みすぎてしまう
- ドラマ・映画・音楽・芸術作品などに深く心を揺さぶられやすい
- ミスや失敗を長く引きずり、自分を責めやすい
- 物事をじっくり考え込み、決断に時間がかかることがある
良い面としては、
- 共感性が高く、人の気持ちを察する力が強い
- 細かい変化に気づきやすく、ケアや接客などで力を発揮しやすい
- 深く考える力を生かして、創造的なアイデアを出せる
といった点が挙げられます。:contentReference[oaicite:6]{index=6}
HSPだからこそ疲れやすい場面
感覚処理感受性が高い人は、
- 人の出入りが多く、音・光・情報量の多い職場
- 生活リズムが乱れやすいシフト勤務
- 対人トラブルが起こりやすい環境
などでは、他の人より早く「心身の疲れ」がたまりやすいと言われています。:contentReference[oaicite:7]{index=7}
「自分が弱いからつらい」のではなく、
- 刺激の強い環境
- 長時間労働や昼夜逆転
- 人間関係のストレス
といった要因が重なることで、もともとの感受性の高さが負担として表に出ている、と考えた方が実態に近いことが多いです。
HSPを「診断名」にしないほうがよい理由
HSPという言葉は、自分の生きづらさに名前がつくことで「ホッとする・安心する」側面があります。実際、そのような体験談も多く報告されています。:contentReference[oaicite:8]{index=8}
一方で最近は、
- 「HSPだから○○できない」と自分を狭い枠に閉じ込めてしまう
- すべてを「HSPだから」で説明しようとして、うつ病や不安障害など他の問題が見逃される
- インターネット情報だけを頼りに、必要な治療から遠ざかってしまう
といったデメリットも指摘されています。:contentReference[oaicite:9]{index=9}
そのため、医学・精神科の立場からは、
- HSPは「自分の気質を理解するためのヒント」として活用する
- しんどさが強いときは、診断名(うつ病・不安障害・適応障害など)や治療が必要かどうかを専門家と一緒に判断する
というバランスのとれた捉え方が大切だと考えられています。
精神科でできるHSPサポート(薬だけではありません)
HSPそのものを「治す薬」は存在しません。
精神科で行うのは、
- 困りごと(不眠・不安・落ち込み・パニックなど)への対処
- 環境調整・対処スキル(コーピング)のサポート
- 併存する疾患(うつ病・不安障害・発達特性など)の評価と治療
が中心になります。
1. 心理教育:気質と病気の違いを知る
まずは、
- HSPや感覚処理感受性とは何か
- 病気として治療が必要な状態とは何が違うのか
- どんな場面で負担が強まるのか
を整理する心理教育を行い、「自分の取扱説明書」を一緒につくっていくイメージでお話します。
2. 認知行動療法的アプローチ
HSPの方は、刺激に敏感なことに加えて、
- 「相手を怒らせたかもしれない」「嫌われたかもしれない」と考えすぎてしまう
- 失敗を必要以上に大きく捉えてしまう
といった考え方のクセが、しんどさを増幅していることがあります。
こうした点に対しては、エビデンスのある認知行動療法(CBT)の考え方を取り入れ、
- 「事実」と「解釈」を分けて考える練習
- 最悪の想像だけでなく、複数の可能性を考える練習
- 自分に対する極端なダメ出しを少しずつ緩める練習
などを進めていきます。認知行動療法は、うつ病や不安障害など多くの精神疾患で効果が示されている心理療法です。:contentReference[oaicite:10]{index=10}
3. 刺激コントロールと生活リズムの調整
感覚的な刺激に弱い方は、
- 仕事前後に一人になれる「クールダウン時間」を意識的につくる
- 照明・音・匂いなど、自分なりに調整しやすい要素を洗い出す
- 睡眠時間・食事・休憩を「削らない」ラインを決める
といった環境と生活リズムの工夫がとても重要です。
必要に応じて、睡眠障害や不安症状に対しては薬物療法も検討しますが、「薬だけに頼る」のではなく、環境とスキルの調整をセットで行うことが回復の近道と考えています。
4. 併存する疾患の評価と治療
「HSPかもしれない」と感じて受診された方の中には、
- うつ病・不安障害・パニック障害
- 社交不安やトラウマ反応
- 発達特性(ASD・ADHD)
などが背景にあるケースも見られます。
こうした状態は、薬物療法や心理療法によってきちんと治療すると楽になる可能性があります。
「全部HSPのせい」とまとめてしまうのではなく、必要に応じて診断と治療方針を検討していきます。
当院(シティライトクリニック歌舞伎町)でのHSP相談
当院は、新宿・歌舞伎町エリアで夜22時まで診療している精神科クリニックです。
HSPかもしれないと感じている方、感受性の高さゆえに日常生活がつらい方のご相談もお受けしています。
初診では、
- これまでのご経歴や生活環境
- しんどさが出やすい場面(職場・家庭・対人関係など)
- 睡眠・食事・アルコールなどの生活習慣
- うつ・不安・パニック・発達特性などの症状の有無
を丁寧にお伺いしたうえで、
- 気質としての「繊細さ」をどう扱っていくか
- 今つらい症状に対して、どんな治療・支援が役立つか
を一緒に考えていきます。
「HSPと診断してほしい」というよりも、
- 今の生きづらさを少しでも軽くしたい
- 自分の気質とうまく付き合うコツを知りたい
という方に向けて、医学的な観点から現実的なサポートを提供していきます。
こんなときは一度ご相談ください
- 人の多い場所や音・光がつらく、仕事や日常生活に支障が出ている
- 他人の感情を受け止めすぎて、いつもぐったりしてしまう
- 「自分はHSPなのか、それとも別の病気なのか」が分からず不安
- SNSや本の情報だけでは、自分なりの対処法が見つからない
- 気質だけの問題ではなく、うつ・不安なども疑っている
「診断名をつけること」がゴールではなく、「どうすれば今より少し楽に暮らせるか」を一緒に考える場として、精神科外来をご利用いただければと思います。
受診方法・アクセス
当院の診療時間・アクセス・ご予約方法は、公式サイトにてご確認いただけます。
スマートフォンからも見やすい構成となっておりますので、お仕事の前後やすきま時間にぜひご覧ください。
参考リンク(外部サイト)
- Aron & Aron (1997) Sensory-processing sensitivity and its relation to introversion and emotionality
- A review of the impact of sensory processing sensitivity on mental health among university students
- Sensory processing sensitivity as a predictor of health status and quality of life
- 感覚処理感受性と共感性および向社会的行動の関連(日本語論文)
- Emotional Contagion and Mirror System Activity in the Highly Sensitive Person
- What It Means to Be a Highly Sensitive Person (Verywell Mind)
- Top 3 Myths About Highly Sensitive People: What Science Says(Psychology Today)
※本記事は一般的な情報提供を目的としており、個々の診断や治療方針を決めるものではありません。実際の治療については、必ず医療機関を受診し、担当医とご相談ください。

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