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「その通院費、払いすぎているかもしれません」――自立支援医療をめぐる当院の”本音”|新宿 心療内科 シティライトクリニック 心とからだ
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「自立支援使いたいです。診断書お願いします。」自立支援…一聴するとなんだそれ?って話ですが、皆さん良くご存じで驚きです。(SNSで皆さんご存じなんでしょうか?)
今日はこの制度について、当院の窓口で実際に起きている、ちょっとややこしい実情も含めてお話ししようと思います。
自立支援医療って、結局なんですか?
一言でいうと、精神科の通院にかかる医療費の自己負担を、通常の3割から原則1割まで下げてくれる公的な制度です1。診察代だけでなく、お薬代など、通院に関わる医療費の多くが対象になります1。
さらに、世帯の所得によっては、1か月あたりの自己負担に上限額が設定されたり、生活保護を受けている方であれば自己負担が0円になったりもします1。「1割になる」だけでも十分ありがたい制度ですが、実際にはもう少し細かい仕組みが絡んでます。
「申請したその日から使えます」と言われたのに、なぜ会計で困るのか
制度としては、市区町村の窓口で申請した時点から、理屈のうえでは利用が始まります。ところが実際にクリニックの窓口に立ってみると、これがなかなか一筋縄ではいきません。
正式な負担割合や自己負担の上限額が決まり、「受給者証」という証明書が手元に届くまで、だいたい2〜3か月ほどかかります。この間、クリニック側は患者さんの本当の負担区分(1割なのか、上限がいくらなのか)を正確に知るすべがありません。
正直に言うと、当院では申請直後の方については、暫定的に「1割負担」として計算させていただいています。これは決して意地悪でも慎重すぎるわけでもなく、後から東京都の上乗せ助成が適用されて自己負担が0円だったと判明した場合、いただきすぎた分を返金する、という流れを取らざるを得ないからです。上限額も2,500円だったり10,000円だったりと、人によって全く違うため、確定するまでは「多めにいただいて、後で返す」という形にせざるを得ません。
こうした事情もあって、精神科・心療内科の中には、申請直後の患者さんの制度利用を受け付けているクリニックと、正式な受給者証が届くまで待ってもらうクリニックとに分かれます。どちらが良い悪いという話ではなく、単純に、返金作業や会計処理の手間をどこまで引き受けるか、という運営側の判断の違いです。当院は「早く安くなってほしい」という気持ちを優先して、申請直後から1割負担での対応をしていますが、この裏側では毎月ちょっとした返金計算に追われています(これは余談です)。
結局、自己負担の上限額はいくらになるの?
ここが一番聞かれるところなので、できるだけシンプルな表にまとめました。実際の制度はもう少し細かく分かれていますが、大枠のイメージとして見ていただければと思います1,2。
| 世帯の状況(目安) | 自己負担の上限(月額) |
|---|---|
| 生活保護を受けている | 0円 |
| 住民税が非課税の世帯(低所得) | 2,500円 または 5,000円 (収入によって変わります) |
| 住民税が課税されている一般的な世帯 | 原則は医療保険と同じ負担額 統合失調症・うつ病・てんかんなど継続治療が必要な病気は 5,000円 または 10,000円に軽減 |
| 住民税の所得割が高い世帯 | 原則対象外 (継続治療が必要な病気は経過措置として20,000円※) |
※経過措置は令和9年3月31日までの期限付きです2。
対象になる病気は決まっているけれど、実はほぼ通ります
「自分の診断名は対象になるんだろうか」と不安に思う方も多いのですが、対象疾患はかなり幅広く設定されています。統合失調症、うつ病・双極性障害などの気分障害、パニック障害や社交不安症などの不安障害、PTSDなどのストレス関連障害、依存症、ADHD・自閉スペクトラム症などの発達障害、知的障害、認知症、てんかんなどが該当します3。
継続的な通院治療が必要な状態であれば、対象になる病名はかなり広いと考えていただいて大丈夫です。実務上のポイントは、医師が診断書を正確に、通院の必要性が伝わるように書けているかどうかにあります。ここさえ押さえていれば、審査で通らないケースはほとんど経験したことがありません。逆に言うと、書類の書き方ひとつで「使えるはずなのに使えていない」ということも起こり得るので、遠慮なく主治医に相談していただきたいところです。
東京都にお住まいなら、0円になることもあります
ここは当院のある東京都ならではの話です。東京都には、自立支援医療の自己負担分をさらに肩代わりしてくれる独自の助成制度があり4、住民税が非課税の世帯(低所得1・低所得2に該当する方)であれば、この助成によって自己負担が実質0円になることがあります4。当院のスタッフの間では、便宜的にこの助成を「93」と呼んでレセプトを処理しています。
注意していただきたいのは、これはあくまで東京都独自の上乗せ制度だという点です。他の道府県に転居された場合、同じような助成があるとは限りません。「東京では0円だったのに、引っ越したら急に負担が発生した」というのは、制度が変わったわけではなく、自治体独自の助成の有無が違うだけ、というケースがほとんどです。
国民健康保険に加入していて、所得が低い方も対象になることがあります
もう一つ見落とされがちなのが、国民健康保険(国保)に加入している方の扱いです。東京都の助成は社会保険や後期高齢者医療制度の加入者向けの制度ですが、区市町村の国保に加入していて世帯の所得が一定以下の方については、それぞれの区市町村が独自に自己負担分を給付してくれる制度がある場合があります4。呼び方も内容も自治体によって少しずつ違うため、「自分は国保だから対象外」と決めつけず、一度お住まいの区市町村の障害福祉担当窓口に確認してみることをおすすめします。
引っ越したら、手続きをしないと制度が止まります
これは実際に何人かの患者さんが困っていた点です。自立支援医療の受給者証は、引っ越し先の自治体に自動的に引き継がれるわけではありません。転居した場合は、住民票の異動手続きが終わったあと、あらためて転居先の市区町村の障害福祉担当窓口で受給者証の変更手続きが必要になります。この手続きが済むまでの間に受診・調剤した分については、制度の適用を受けられないこともあるため、引っ越しの予定がある方は、早めに自治体の窓口へ確認しておくと安心です。
実際どうすればいいのか――当院での流れ
先ほどの患者さんには、この制度の説明をしたうえで、実際に申請していただきました。診断書は当院で作成し、区の窓口に提出。3か月ほどで受給者証が届き、それまでの1割負担分の一部は、後日きちんと差額として調整しています。結果として、月々の通院費用の負担はかなり軽くなり、「これなら続けられます」と、通院の間隔を空けずに治療を続けられています。
制度自体は複雑に見えますが、患者さんご本人がすることは、基本的に「窓口で申請書を出す」「医師に診断書を書いてもらう」の2点だけです。細かい負担割合の計算や、上限額が確定するまでの調整は、クリニック側で対応する部分になります。
もし今、通院費用のことで治療を続けるか迷っている方がいらっしゃれば、まずは一度、自立支援医療の申請について診察の際にご相談ください。制度の対象になるかどうかも含めて、当院でご案内しています。
参考文献
- 厚生労働省.自立支援医療(精神通院医療)について.
- 東京都福祉局.自立支援医療(精神通院医療)負担上限月額表(令和8年7月1日施行).
- 厚生労働省.自立支援医療(精神通院医療)について(対象疾病一覧).
- 東京都福祉局.自立支援医療(精神通院医療)に係る東京都医療費助成制度.
- Sinnott SJ, Buckley C, O’Riordan D, Bradley C, Whelton H. The prevalence and predictors of unintentional non-adherence and prevalence of intentional non-adherence associated with the cost of medications: a systematic review. PLoS ONE. 2013;8(5):e64914.


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