Neisseria gonorrhoeae 淋菌感染症(淋病)
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による細菌感染で、尿道炎・子宮頸管炎・咽頭炎・直腸炎などを起こします。オーラル/アナルを含む粘膜接触で感染し、男性は「膿のような分泌物と排尿痛」、女性は「無症状〜おりもの増加や不正出血」が典型です。未治療では骨盤内感染(不妊・異所性妊娠の原因)、副睾丸炎、播種性淋菌感染(関節炎・皮疹)へ進展し得ます。当院(新宿歌舞伎町)は夜間即日遺伝子検査(TMA)に対応し、結果に応じた速やかな治療とパートナー同時対応を行います。
この記事の監修ドクター
須藤 英隼 シティライトクリニック歌舞伎町
淋菌感染症(淋病)とは
淋菌(Neisseria gonorrhoeae)による性感染症です。性器・咽頭・直腸などの粘膜に定着し、炎症や分泌物を引き起こします。
女性は無症状のことが少なくなく、知らないうちに骨盤内炎症性疾患(PID)へ進展することがあります。男女ともに咽頭(のど)感染は自覚症状に乏しく、感染源になりやすいため注意が必要です。
淋菌感染症(淋病)の感染経路
淋菌感染症(淋病)に感染する部位
- 性器(尿道・子宮頸管/膣)
- 咽頭(のど)
- 直腸
- まれに結膜(新生児眼炎など)
淋菌感染症(淋病)に感染する行為
- 膣性交
- アナルセックス
- オーラルセックス(フェラチオ/クンニ)
- セックスグッズの共用(洗浄不十分)
- 出産時の母子感染(産道感染)
性器(尿道・子宮頸管/膣)
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成立メカニズム:性器粘膜に付着した淋菌が上皮へ侵入し、尿道炎・頸管炎を起こします。射精の有無に関わらず、前液や膣分泌液により感染が成立します。
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注意点:女性は無症状のことが多く、気づかないうちに**子宮内膜炎〜卵管炎(PID)**へ進展することがあります。
咽頭(のど)
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成立メカニズム:オーラルセックス(フェラチオ/クンニ)で、性器分泌液が咽頭粘膜に接触すると感染します。
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注意点:自覚症状に乏しい一方で、細菌が残りやすく治療後の再検(test of cure)が推奨される代表部位です。まれにディープキスのみで伝播が示唆される報告もありますが、主経路はオーラルセックスです。
直腸
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成立メカニズム:アナルセックスで直腸粘膜に接触し感染します。膣からの分泌液が肛門周囲・直腸に流入して感染することもあります。
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注意点:無症状〜軽い違和感のみのことも多く、部位別スクリーニングが重要です。
まれに結膜(新生児眼炎など)
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成立メカニズム:感染分泌液が目に入ることで結膜炎を起こします(手指・体液の飛散など)。
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新生児:分娩時に産道で感染すると新生児淋菌性結膜炎を来し、失明リスクがあるため妊娠中のスクリーニングと治療が重要です。
淋菌感染症(淋病)の症状
淋菌の症状
潜伏期間は 2〜7日 が目安(個人差あり)。部位ごとに以下がみられます。
男性
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尿道炎:排尿痛、掻痒感、膿性〜黄白色の分泌物(下着の汚れ)
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合併症:副睾丸炎、精巣痛・腫脹、まれに尿道狭窄
女性
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子宮頸管炎:おりもの増加、不正出血、下腹部違和感(無症状が多い)
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進展時:子宮内膜炎・卵管炎 → 骨盤内炎症性疾患(PID)、不妊・異所性妊娠のリスク上昇
男女共通
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咽頭淋菌:無症状〜咽頭痛・違和感(治癒しにくい部位)
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直腸炎:肛門痛、粘血便、下痢様症状
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播種性淋菌感染(DGI):発熱、移動性関節痛、腱鞘炎、膿疱性皮疹(要早期治療)
淋菌感染症(淋病)の検査方法
淋菌の検査方法
当院は 核酸増幅検査(TMA/RT-PCR 等) を中心に、必要に応じて 培養+薬剤感受性試験 を組み合わせます。
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採取部位:
男性=初尿(最初の尿)、必要に応じて咽頭・直腸スワブ
女性=自己採取膣/頸管スワブ、必要に応じて咽頭・直腸スワブ -
検査タイミング(曝露後の目安):
早すぎると偽陰性があり、2〜7日以降の検査を推奨(急ぎの場合は一度検査し、陰性でも必要に応じ再検)。 -
培養・感受性試験:治療失敗が疑われる場合、咽頭感染、過去に多剤治療歴がある場合に実施し、耐性を評価。
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同時検査:クラミジア・梅毒・HIV などの併存リスクも高いため、同時スクリーニングを推奨。
淋菌感染症(淋病)の治療方法
淋菌の治療方法
耐性化が世界的に進んでおり、最新の推奨はセフトリアキソン(CRO)単回投与を基本 とします(体重や臨床状況で用量・投与経路を調整)。
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第一選択:セフトリアキソン(医師が用量・投与法を判断)
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咽頭淋菌:難治のため必ず適切量で治療し、7〜14日後に治癒確認(test of cure) を推奨
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クラミジア併存が否定できない場合:併用治療を検討(医師判断)
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治療中の注意:双方が治療完了し7日経過し症状が消失するまで性行為は中止
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パートナー対応:過去60日以内の性パートナーに検査・治療の案内
※地域・学会ガイドラインや薬剤入手性によって細部は変わるため、医師の診察にて最適な処方を決定します。
淋菌感染症(淋病)の予防方法
- 淋菌の予防方法
- コンドームの適切使用(オーラル含む)
- 定期スクリーニング(複数パートナー・ナイトワーク等のリスク群、咽頭/直腸も部位別で)
- 性行為再開のルール:双方治療完了+7日経過+症状消失
- 情報共有:パートナーと検査・結果・治療の情報をオープンに
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コンドームの適切使用(オーラル含む)
性交の最初から最後まで着用。オーラルはコンドーム/デンタルダム使用。部位を変える時は交換。 -
定期スクリーニング(リスク群・部位別)
暴露部位ごと(尿・頸管/咽頭/直腸)に検査。リスク高は1〜3か月ごと、それ以外は6〜12か月ごとが目安。 -
性行為再開のルール
双方の治療完了+7日経過+症状消失まで控える。咽頭感染は**治癒確認(7〜14日後)**までオーラル回避。 -
情報共有
過去60日以内のパートナーに検査・治療を案内。結果と治療完了日を簡潔に共有。
当院は部位別の即日遺伝子検査と迅速治療・パートナー同時対応に対応しています。
淋菌感染症(淋病)の検査・治療価格
淋菌感染症(淋病)について よくあるご質問
曝露直後は陰性化することがあり、2〜7日以降が目安です。症状が強い場合は直ちに受診し、陰性でも必要に応じ再検します。咽頭・直腸は暴露部位ごとに検査してください。
男性は膿性分泌物+排尿痛が典型、女性は無症状〜おりもの増加が多く、無症状でも感染源になり得ます。定期検査が重要です。
原則セフトリアキソン単回を基本とし、咽頭感染は7〜14日後に再検査を推奨します。尿道・頸管は症状消失と臨床経過で判断しますが、妊娠中・治療失敗疑いでは再検します。
過去60日以内のパートナーの検査・治療が必要です。双方治療完了+7日経過+症状消失までは性行為を控えてください。再感染が多いため、3か月以内の再検をおすすめします。
03-6265-9265