Syphillis 梅毒
梅毒は梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)による細菌感染で、無痛性の硬性下疳や体幹・手掌足底の発疹、そけい部リンパ節腫脹を示すことがあります。オーラル/アナル含む粘膜接触で感染し、早期は感染性が高く、未治療では神経・心血管系へ進展し得ます。血清学的検査(RPR等の非トレポネーマ試験+TPHA等のトレポネーマ試験)の併用で早期診断が可能です。当院(新宿歌舞伎町)は夜間・個室での即日検査と速やかな治療に対応し、パートナー同時対応も行います。
この記事の監修ドクター
須藤 英隼 シティライトクリニック歌舞伎町
梅毒とは
梅毒は、梅毒トレポネーマ(Treponema pallidum)という細菌によって引き起こされる性感染症です。主に性的接触を通じて感染し、口腔や性器の粘膜、皮膚から侵入します。感染はオーラルセックスやアナルセックスを含むすべての形態の性行為で発生する可能性があります。近年、日本国内での梅毒感染者数が急増しており、特に20代から50代の男性や20代の女性に多く見られています。
梅毒は早期発見と適切な治療によって十分管理可能な性感染症ですが、その急増傾向には注意が必要です。特に若年層や風俗業従事者などリスク群では定期的な検査と予防策を講じることが重要です。また、妊婦への影響も大きいため、妊娠中は特に注意深く健康管理を行う必要があります。正しい知識と理解を持ち、自分自身とパートナーの健康を守るためにも積極的な行動が求められます。
梅毒の感染経路
梅毒に感染する部位
- 性器
- 肛門
- 口腔内(舌・口蓋・粘膜)
- 母子感染(胎盤)
梅毒に感染する行為
- セックス(膣性交)
- アナルセックス
- フェラチオ
- クンニ
- キス
- 血液(非常に稀)
梅毒は主に以下の経路で感染します:
- 性交渉: 感染者との膣性交、アナルセックス、オーラルセックスによって感染します。
- 母子感染: 妊娠中の母親が梅毒に感染している場合、胎盤を通じて胎児に感染することがあります。これにより、死産や早産、出生時の異常が引き起こされることがあります。
梅毒の症状
梅毒は性的接触で侵入した細菌が、侵入部位に無痛の硬いしこりや浅い潰瘍などの局所症状を生じさせ、その後は血行・リンパ行性に全身へ広がって臓器に及び、発疹など多彩な全身症状を引き起こす疾患です。
病期は概ね三段階に区分され、各期で症状は変化します。症状が一時的に消えることもあるため、少しでも違和感があれば早めの検査をおすすめします。
潜伏期間と症状
梅毒の潜伏期間は通常3週間程度ですが、個人差があります。症状は感染の段階によって異なります。
1期梅毒
- 初期硬結: 感染から約3週間後に、感染部位(通常は性器や口腔)に小豆大から指先大の無痛性のしこり(硬性下疳)が現れます。
- 潰瘍形成: 硬結が潰瘍化し、周囲のリンパ節が腫れることがあります。この時期は感染力が高いです。
2期梅毒
- 全身症状: 初期硬結が消失した後、全身に発疹が現れます。典型的には淡紅色の斑点が体幹や四肢に広がります。
- リンパ節腫脹: 全身性リンパ節腫脹や発熱が見られることもあります。この段階では多臓器に影響を及ぼす可能性があります。
無症候梅毒
- 2期梅毒が自然消退した後、無症候状態(潜伏梅毒)になります。この状態では感染力はありませんが、再発を繰り返すことがあります。
3期梅毒
- 感染から数年後に進行する可能性があり、心血管系や神経系に深刻な障害を引き起こすことがあります。具体的には心臓病や進行麻痺などが含まれます。
梅毒の検査方法
当院では梅毒のスクリーニングと評価に、TP系(トレポネーマ特異抗体)とRPR系(非トレポネーマ抗体)の二法を用います。抗体検査である性質上、暴露から抗体が十分に上がる目安は約4週間以降で、その時期の検査が推奨されます。
TP系抗体は病原体そのものに対する特異的抗体で、一度感染歴があると長期に陽性を保つ傾向があります。これに対しRPRは組織障害に伴う自己抗原様成分に対する抗体で、疾患活動性を反映しやすい指標です。
RPRの力価は治療により低下していくため、治療反応性の確認に有用です。一方で、妊娠や自己免疫疾患などでも上昇することがあり、こうしたケースは生物学的偽陽性と呼ばれます。
当院の結果報告は、TP・RPRの定量値(力価)を明示します。両者を数値で併せて評価することで、病期推定、治療効果判定、再感染の見極め、偽陽性の鑑別をより具体的かつ客観的に行うことが可能です。
梅毒の治療方法
梅毒は抗生物質によって治療可能です。以下は一般的な治療法です:
- ペニシリン系抗生物質: 主にペニシリンGが使用されます。早期梅毒の場合は単回投与で効果があります。
- ドキシサイクリン: ペニシリンアレルギーのある患者にはドキシサイクリンなど別の抗生物質が処方されることがあります。
治療後も再感染を防ぐためには、パートナーも同時に治療を受けることが重要です。
梅毒の治癒の目安
梅毒が陽性の場合はRPRの力価を指標に治療経過を追います。一般にRPRが初期値の1/4(4倍低下)に達した時点を血清学的治癒の目安とします。ベンザチンペニシリンGの筋注後、力価低下には個人差がありますが概ね約3か月を要するとされ、当院でも治療後3か月での再測定を基準に評価します。
後期梅毒(治療方針)
-
感染から1年以上経過している方
-
第Ⅲ期の臨床所見がみられる方
上記は後期例として、1週間間隔で3回のベンザチンペニシリンG(ステルイズ®)筋注を実施します。
妊婦の治療
胎児梅毒予防の観点からも有効薬を用いますが、ドキシサイクリンは妊婦には禁忌です。ペニシリンアレルギーがある場合でも、医療管理下でペニシリン減感作を行い投与することが推奨され、胎児への感染リスクを最小化しつつ安全に治療が可能です。
梅毒の予防方法
- 梅毒を予防するためには以下の対策が有効です:
- 1. コンドーム使用: 性行為時には必ずコンドームを使用し、安全な性行為を心掛けること。
- 2. 定期的な性感染症検査: 特にリスク群(多くのパートナーとの性交渉を持つ人々)では定期的な検査が必要です。
- 3. 教育と認識向上: 自分自身とパートナーへの教育を通じて性感染症について理解し合うことが重要です。
梅毒の検査・治療価格
梅毒について よくあるご質問
暴露(心当たりの性行為)から約3〜4週間で抗体検査(RPR+TP)が陽性化しやすくなります。症状があればすぐ受診し、陰性でも4〜6週で再検が安心です。早期は陰性でも後日陽性化することがあります(ウインドウ期)。
侵入部位の無痛のしこり/浅い潰瘍(硬性下疳)、手のひら・足のうらも含む発疹、そけい部リンパ節腫脹が代表的。のど・肛門感染もあり得ます。自然に消えることがあるため、消失=治癒ではありません。
標準はペニシリン筋注(早期は単回、後期は週1回×3が目安)。治療後はRPRが初期値の1/4(4倍低下)に下がるかを約3か月で確認します。TPは長期陽性でも、RPRの低下で治療効果を判定します。
パートナーの同時検査・治療が必須です。梅毒は再感染します(TP陽性のままでもRPRで活動性を確認)。治療完了・医師の許可が出るまでは性行為を控え、再開後も潰瘍部位にはコンドームが届かないため完全防御ではない点に留意してください。
03-6265-9265